マインドフルネスという言葉を紐解いていくと、必ず禅という言葉が出てきます。日本にはとてもなじみ深いはずですが、私たちはそれほど知りませんよね。一体それらとマインドフルネスとはどのような関係があるのでしょうか。そしてやはり、その仏教の開祖であるブッダにルーツがあるのでしょうか。
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マインドフルネスと禅
マインドフルネスは禅やヨガの技術や考え方を取り出し、それらの宗教性を排除して体系化したものである、と説明されます。つまり、「お坊さんてマインドフルネスで言われていることと同じようなことを言うんですよ」と言われる方がおられますが、順番が全くの逆なのですね。マインドフルネスが完全に禅をベースにその考え方を踏襲しているのです。
そもそも禅て何?
そもそも、禅と言われても何のことなのかよくわからない方もおられるかもしれません。もちろん、日本に長年住んでいるので、禅というものがあるということはご存知でしょうが、確かに馴染みが無いと言えばそうですよね。禅て何なのでしょうかね?実は、禅とはこれだ、ということ自体、禅の精神が嫌っているというこれまた分かりにくい話なのです。ですので、完全な定義というのはないのですが、現代風に簡単にいうと・・・
「誰もが内に備えている慈しみとはじめとする仏の気持ち、心を再発見するために、座禅などを通して自身を感じ、その経験に基づいて新たな価値観を創り出していく」
って感じなんです。これでも相当くだいて言っているのですが、まだ難しいですよ。そこで、もっともっと簡単に言うと、
「もう一人の自分に気付こうよ。呼吸と姿勢と心を整えてね」
って感じなんです。
調息・調心・調身
禅の精神で調息・調心・調身というのものがあります。その名の通り、呼吸と心と身体を整えましょうというもの。もっと言えば、これらの三つはそれぞれ連関していて、どれかが整っていない時は、別のところを整えましょう。すると、連関しているので、全てが整いますよというもの。この考えがマインドフルネスにも使われているのですね。
マインドフルネスで呼吸を意識し、姿勢を意識し、心を整える
マインドフルネス風に言えば、このような感じでしょうか。マインドフルネスや瞑想で必ず出てくるのが呼吸を整えるというもの。呼吸を整えると、なぜだか心も整う。これはあなたも経験していることだと思います。緊張している時、大きく深呼吸をしますよね。怒ったり、悲しんだりして心が揺れている時、呼吸は浅く速くなっていませんか?このように、心と呼吸は連関しているということをあなたも体験的に分かっているのです。そして姿勢。これもまた自分に自信がある時の歩き方とそうでない時とは違いますよね?姿勢が曲がっている人は、なんだか心も曲がっている。そんな姿を見たことがある方もおられるでしょう。このように、呼吸と、姿勢と心の関係性を重視したために、まず呼吸を意識しましょうということになっているのです。
マインドフルネスの科学的根拠
現代では、これらの関連性が全て科学的根拠をもとに明らかになっているのです。例えば、呼吸を整えると心が落ち着くという例。これは呼吸をしっかりと意識して5分ほど行うと、セロトニンという脳内伝達物質・ホルモンが分泌されることが分かっています。セロトニンが分泌されると人間は幸福感やリラックス感を得るということも分かっているのです。一つの例だけでも科学的に説明をすることができる禅の精神。マインドフルネスがこれだけ広まるのもすごいですが、科学技術が全くなかった時代から続いている禅は本当にスゴイと感じます、と同時に、すごいから科学技術、科学の裏付けがなくともこれまで続いてきているのだな、とも捉えることができますね。
マインドフルネスと仏教とブッダ
世界三大宗教である仏教。我々は無宗教ですと言う人が多い日本人も、葬儀などでは仏教スタイルが用いられています。あなたも法事や四十九日というものに参加したことがあると思います。これらにも宗派などがあってややこしいですが、元をただせばブッダという開祖にいきつきます。少しだけ、どのような人物か見ておきましょう。
ブッダについて
仏教の開祖がブッダであるということは何となく知っていますよね。でも、一体何者なのか、詳しく知る人はあまりいません。ここで彼の簡単な略歴を見ていきます。実はブッダというのは”悟った人”と言う意味であり、その人の名前ではないのです。所謂ブッダの本名はゴーダマシッタールダと言いまして、2600年ほど前(しっかりとは特定されていない)に今のネパールで生まれたと言われている、本当に実在していたであろう人物なんです。ブッダという呼び名とともに、我々に最もなじみ深い言い方でお釈迦さまという言い方がされます。これは彼が、当時あった釈迦国という国の王子として生まれたからなのです。(釈迦国は、日本で言えば戦国大名が統治する国の一つみたいな位置づけだそうです)王子として何不自由なく過ごしていた彼ですが、生老病死それぞれの苦しみを克服するために出家します。つまり、王子の地位を捨てて修行を始めたのですね。これが29歳の時です。そこで様々な修行をしたのですが、悟りの境地に至ることができずに時を過ごします。紆余曲折あって、とうとう35歳の時、菩提樹の下で悟りを開き、その悟りを生涯弟子たちに伝えていったとされています。
悟るって何?ブッダは何を悟ったの?
悟りを開く。なんだか怪しそうな感じがする言葉ですよね。そもそも悟るということは、’もう一人の自分に気付き、全てを理解した状態である’と言えるのです。その境地に達したいがため、出家して修行に励む人が後を絶たないのですね。では、ブッダが悟ったことは何?と言う話になりますが、その内容も所説あるのですよ。ここでは分かりやすく説明されている内容を一つ紹介しておきます。一説によれば、ブッダが悟った内容は空・縁起であると言われています。全てのものは空であり、縁によって起こっているというものです。有名なものに十二支縁起などという言葉がありますが、それらも全て縁によって起こっているということを表しているのですね。簡単に言いますと、この世に絶対なものなんてないよ、と言いたいわけなのです。人間の悩みは「自分が正しい、自分が絶対である」ということから派生します。しかし、ブッダはそのように思ったり苦しんだりしている思いこそ幻かもしれないよ、とい言っているのです。なんだか難しいですよね。でも、マインドフルネスと関連付けて仏教について学習されると、とてもおもしろい発見がありますよ。
まとめ
・マインドフルネスのルーツは禅にある。禅の調息、調心、調身もその基本となっている。
・禅の元をたどると仏教、そして開祖であるブッダにいきつく。ブッダの解釈は様々あるが、仏教の教えが現代の科学的認識と一番合致しているという事実がある。