子どもの日の5月5日には、男の子のいる家庭では鯉のぼりを飾り、その成長をお祝いしますよね。
でも、どうして男の子のいる家だけなんでしょうか。
また、なぜ『鯉』を飾るのか…?
歴史をさかのぼって見てみるとその理由がわかりますよ!
鯉のぼりが子どもの日に飾られる意味や由来をわかりやすくまとめました。
Contents
鯉のぼりの由来は?いつから始まったもの?
鯉のぼりはどのようにして、現在に飾られるようになったのでしょうか?
歴史をさかのぼって見ていきましょう!
鯉のぼりを飾るようになった由来は?
鯉のぼりの始まりは江戸時代からと言われています。
江戸時代になると端午の節句は五節句の一つとして重要な式日に制定されました。
それは「江戸城で徳川将軍をお祝いする日」になります。
また、将軍に男の子が生まれると、この5月5日に一緒にお祝いをしていたそうです。
その日には、将軍家に男が生まれると世継ぎの出生を祝って家紋の入ったのぼりが立てられるようになります。
この時には、飾りがついていないのでまだ「こいのぼり」ではありません。
この習慣がしだいに武士の家にも広がり、男の子が産まれた印としてのぼりを立てるようになりました。
さらにこれが、町民のあいだにも広がっていくのですが、このときにのぼりに鯉を描くアイデアが生まれたと言われています。
こんな感じのイメージです。↓
画像引用:https://www.adachi-hanga.com/ukiyo-e/items/hiroshige173/
最初は旗に鯉の絵を描くだけだったのが、徐々に姿を変えて今のようにまるで本物の鯉が空を泳いでいるような形になったようですね。
【なぜのぼりに『鯉』を描いたの?】
なぜのぼりに鯉を描くようになったのかというと、鯉の滝登りと言う中国の故事から影響を受けたと言われています。
昔、中国で流れの激しい滝を登った鯉が竜になったという伝説があり、鯉は立身出世の象徴とされていたそうです。
「鯉のように男の子も立派に出世しますように」という願いが込められていたのだと思います。
どうして男の子だけ鯉のぼりを飾るの?
では、なぜ男の子が生まれた時だけ鯉のぼりを飾っていたのでしょうか?
鯉のぼりが生まれた時代は江戸時代で武士の時代でした。
家系を絶やさないためにも男の子を生む必要があり、また武士の時代ということで男の子が生まれるということは喜ばしいことだったようです。
男の子が生まれた喜びと今後の成長を願ってこいのぼりを上げていたんでしょう。
5月5日の端午の節句が男の子のイメージが強いのにはもう一つ理由があります。
「端午の節句」は「菖蒲の節句」とも言います。
昔は、男の子の成長を祝う日ではなく、女性の厄払いをするための日として菖蒲の節句がありました。
(端午の節句の由来を知りたい方はこちら→子どもの日の由来とは?)
5月は田植えシーズンで昔は女性の仕事だったので、この日は女性が大切にされ、女性だけが菖蒲をふいた屋根のある小屋に集まり、田植えの前に穢れを払い身を清める儀式が行われていました。
その時に、魔除けの力があると言われていた菖蒲を使って邪気を払ったり、菖蒲酒を飲んだりすることで身を清めていました。
しかし、鎌倉時代ごろから武士が中心の社会になりました。
菖蒲の節句は女性から男の子の節句に変わってしまったのです。
その理由は、
・「菖蒲」が「尚武(武道を大切に思う考え)」と同じ読みであること
・菖蒲の葉の形が剣を連想させる(剣=男の子)
などから、端午は男の子の節句とされ、男の子の成長を祝い、健康を祈るようになったと言われています。
鯉のぼりを飾る意味とは?
5月5日に鯉のぼりを飾るのには、どういった意味があるのでしょうか?
鯉にはどんな意味がある?
先ほど少しお伝えしたように、昔は鯉は立身出世の象徴とされていたようです。
鯉は昔から縁起の良い魚とされていました。
鯉が滝を登って竜になったように子どもにも立派に成長して出世してほしいという願いが込められています。
また、鯉はきれいな水の中だけでなく、池や沼などの汚れた水の中でもたくましく生きることができる魚です。
こんなにたくましい鯉のように、どんな環境でも元気に立派に成長してほしいという願いも込められていたようですね。
昔は医療が発達していなかったので、大きくなるまでに病で亡くなってしまう赤ちゃんが多くいました。
病にも負けず子どもが元気に大きく育つようにと、5月5日には鯉のぼりをあげて1年に1度お祈りしていたんですね。
鯉のぼりの1番上にある吹き流しの意味とは?
鯉のぼりをあげる意味は分かったと思います。
では、鯉のぼりの上に付いているあのカラフルなヒラヒラしたものって意味があるのかご存知ですか?
あのヒラヒラの正体は『吹き流し』というもので、こちらも鯉のぼりには必要不可欠なものなんです!
吹き流しはカラフルですが、その色にもちゃんとした意味があるんですよ。
鯉のぼりの『吹き流し』ってどんな意味がある?
鯉のぼりの1番に上に付いている吹き流しの意味は『魔除け』です!
その歴史はずっと昔で、戦国時代から始まっていると言われています。
戦が終わった後に、「今後このような災いが起きない様に」と魔除けとしてのぼりに吹き流しを付けたのが始まりなんだとか。
昔は子供が幼くして亡くなってしまうので、病(災い)からも守ってもらえるようにと、端午の節句の鯉のぼりにもつけられるようになったようです。
ポールの先端についているものにも意味があった!
ちなみに、ポールの先端についている、丸い物や車輪のようなものにも、ちゃんと意味があります。
【 ポールの先端の丸い球体】
回転球、天球と言われるもので、神様を呼んで降りる時の目印です。
子どもがいることを神様に早く見つけてもらい、より早く守ってもらえるようにつけられたものです。
【車輪のような物】
矢車と言われている弓矢の印です。
車輪にすることで、どこから魔が来ても弓矢で射抜くことができるという意味があります。
吹き流しの色にも意味がある?!
吹き流しに魔除けの意味があることが分かりましたが、あのカラフルな色にも『魔除け』の意味があるんですよ!
吹き流しのいろは、赤・青・黄・白・黒(紫)の5色です。
この5色は、古代中国の五行説からきたと言われています。
【五行説とは?】
五行説とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想のことです。
全てのものは木・火・土・金・水の5種類の元素から作られるという説である。
また、5種類の元素は「互いに影響を与え合い、全ての物が変化と循環すると」という考があります。
吹き流しの5色にも、
赤→火
青→木
黄→地
白→金
黒→水
という意味があります。
この五色を並べて五芒星に見立てると陰陽道でいう「魔除け」の意味があると言われています。
この5色を使った吹き流しには『魔除け』の力があるということがわかりますね!
他にも、日本の神社や行事などでこの5色はよく使われています。
見かけた時には、「魔除けをしているんだな」と思ってくださいね。
まとめ
鯉のぼりの意味がご理解いただけたでしょうか?
小さなお子さんなどに意味を答える時には、
「鯉のぼりの鯉のように、元気にすくすく育ちますように」
「吹き流しで魔除けをしている」
など簡単に教えてあげると良いと思いますよ!
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