マインドフルネスを実践していく上で、欠かせないキーワードになってくるものがいくつかあります。その中でも必ず出てくる三つのキーワードである、「手放す」「今ここ」「受け入れる」という言葉。もともとこの手法、考え方は禅の教えから来ているもので、アップル創業者であるスティーブジョブズもこの精神を習得するために日本まで来ていたと言っても過言ではありません。これらを駆使することにより、マインドフルネスの効果がより出やすくなる、ということだそうですが、一体どういうことなのでしょうか。実際のやり方も交えて見ていきます。
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マインドフルネス効果がでるやり方 今ここ
マインドフルネスを語る上で、最重要ワードと言ってもいい”今ここ”というワード。瞑想をする際、今ここに意識を向けよう、とよく言われます。他の記事でもいくつかの例を紹介していますが、今一度見ておきましょう。
心の揺れている原因は過去か未来
大前提としてこのことがあります。あなただけでなく、世の中全ての人の、憂い、迷い、不安といった情動は間違いなく過去か未来に起因しているのです。
あの時、こうしておけばよかったな(過去)⇨だから明日はこんな最悪なことが起こっているだろうな(未来)
このように、過去の出来事を勝手にネガティブに解釈して、その解釈から未来、先行きを憂いてしんどいとか苦しいと言っているのですよね。あなたにも心あたりはありませんか?このような状態で、一番悪い点は、自らのパフォーマンスを下げてしまうということなのです。不安や恐れがある時、ずっとドキドキしてまともな判断ができない時がありますよね?大なり小なり、その負の情動は人間の判断にもマイナスの影響を与えるということが科学的にも判明しています。
過去か未来に揺れる心を今ここに
そこで、マインドフルネスでは”今ここ”に意識を向ける、つまり過去や未来ではなく、現在に意識を向けようという手法をとっているのです。人間の意識は一つのことにしか集中することができません。例えば、喜びながら悲しむ。難しいですよね?これと同じことが未来現在過去への意識にも言えるのです。”今ここ”に意識を向けることで、本当に現在のことにしか意識がいきません。その時当然、過去や未来の憂い不安が消えます。消えるというよりは、そちらに意識が回らないと言った方がいいかもしれません。即ちそれら過去や未来からくるストレスも減っていくということが言えるのです。
マインドフルネス効果がでるやり方 手放す
次に”手放す”というキーワード。感情や起こった出来事を手放すということなのですが、少し難しく感じるかもしれないので、ここでは具体的なマインドフルネス瞑想の例を挙げて解説してみます。
例1 マインドフルネス瞑想 川の流れのように
マインドフルネス瞑想中に、目を瞑って川をイメージします。その川はあなたの慣れ親しんだ川です。思い浮かぶ川であればどのような場所でも、どのような大きさでも構いません。その川は右から左、左から右、どちらから流れていますか?それもあなたのイメージのままで構いません。上流から下流に向かって水が流れています。その川の流れに流されている葉っぱを見ます。葉っぱでなく桶でも構いません。流れるものであれば何でもいいです。その上に、あなたの感情、出来事が乗っかっています。目を瞑りながら、どんどん浮かんでくるそれです。それをずっと岸から眺めておくのです。川が流れているのと同時に、あなたの感情や出来事も一緒に下流に流れていきます。それを追うことなく、ただ眺めて、流れているな、と思いながら下流に行くのを見つめているだけです。下流に行ったのに、また上流から流れてくる感情や出来事もあるでしょう。でも、それもまた同じように下流に送るのです。次第にあなたは川に映るきれいな水面をじっとみていることでしょう。
例2 マインドフルネス瞑想 風船
例1と同様に、マインドフルネス瞑想中に風船を思い浮かべます。あなたが目を瞑っている時に思い浮かんできた感情や出来事を風船の膨らみに、風船の中にいれてあげます。どんどんその出来事が大きくなるとともに風船も大きくなります。そこで、さっと風船を持っている手を離します。すると膨らんでいた風船は一斉に空へと飛んでいきます。また、同じ出来事や感情で風船が大きくなることでしょう。そして風船がパンパンに大きくなったら、また手を離します。風船は空の彼方へ飛んでいきます。
川の下流に送る 風船を空の彼方へ =手放す
これらの例で、上流から下流に見送ったり、風船を空の彼方へ飛ばしている行為をマインドフルネス瞑想中に行っている時、自分の感情・出来事を”手放す”という状態になっているのです。
マインドフルネス効果がでるやり方 受け入れる
最後に”受け入れる”というやり方を見てきます。受け入れるといっても、実は上記のマインドフルネス瞑想をしているのも受け入れている、とも言えるのですが、もう少し詳しく見ていきます。
あなたの思考、出来事を客観的に観る
上記の川の瞑想法を思い出してください。あなたの前をあなたの思考や出来事が通り過ぎていきましたよね。そこで、もう一歩俯瞰でものを見てみます。鳥の目、鳥瞰ともいわれますが、空からあなたを見ている状態にまで持っていきます。すると、あなたの隣にも同じように川を眺めている人がいます。そしてあなたの対岸にも同じように川を眺めて自分の感情、出来事を下流に送っている人がいます。そのような様子を鳥の視点から見てどのように感じますか?例えば隣で同じように思考の川を眺めている人が、上流から来た思考、出来事に没頭してその桶に飛び乗り、下流まで一緒に流されていったらどう思いますか?「何をしているんだろう、あの人は」と思うはずです。このことが自分自身にも当てはまるのですね。全ての感情、出来事の価値基準判断はその時のあなたの腹の虫の居所でしてかないということが分かっています。「絶対にあの人を許せない」という感情が芽生えている中で、宝くじの一等賞が当たったらどう思います?許せないという感情が弱まりませんか?その時点で、あなたが下していた「絶対にあの人を許せない」という価値基準判断がずれているのですよ。そして、そのことを受け入れるんです。つまり、今私が○○と思っているけれども、これは絶対不変のものではない、ということをです。このことをしっかりと認識することが”受け入れる”ということにつながるのです。
意味づけが変化する思考や出来事
この本質をとらえ、仏教では「諸行無常」などという言葉で表現されます。世の中に常なものなんてないのです。あなたが心が揺れているのは、あなたの中にある常識とかこうあるべきだという価値観があるからです。全てが常であるということはあり得ない、ということさえ理解できれば、日々の出来事に心を揺さぶられることがなくなります。あなたの価値基準が、果たしてあっているのか、ということを問い直してみるといいかもしれませんね。実はこれが、禅の精神につながる思想となってきます。
まとめ
・マインドフルネスで大切なキーワード、”今ここ””手放す””受け入れる”という状態に持っていくことで、脳が整理され、ストレスフルな状態を創り出すことができる。
・それぞれ色々なやり方がある。深く難しく考えずに、自分にできそうなものに気軽にトライしてみるとよい。